水哭島フェリー船上
水無月 香夏子 2日前/10時13分13秒
「島が見えてきたよ、里奈。」
「う゛ん・・・・・・・・・」
「だから付いてこないほうが良かったのに、あんた船苦手でしょ」
「だって香夏子の話聞いてたら行きたくなっちゃったんだもん」
二人は同じ大学の同級生だ、今は船酔いで元気が無いがいつもはとても活発的でバンドまで組んでいるが今日は香夏子がどうしてもこの島に行くと言うので付いてきたのだ。
「どんな感じの島・・・・?」
「まだはっきりとは見えないけど・・・何か不吉な感じがする島だな・・・」
「ふ〜ん、まあいいや私は香夏子に付いてきただけだしね」
香夏子は大学で歴史学を学んでいる、といってもあまり成績は良くない。それというのも香夏子は与えられた課題もこなさず自分の興味の有ることしか調べようとはしない。しかしそんな香夏子にも理解者がいるのだ、それは香夏子通っているの大学でも特にに変わり者と言われている伊佐原教授だ、教授は彼女を担当しているわけではないがよく香夏子と歴史や風習について話していた。
香夏子は自分の考え方を絶対に曲げようとはしないのでよく担当教授と口論になることが有りそのたびに教授が出てきてその場を治めてもらいある時には、徹夜での調べ物などに付き合ってもらっていたので香夏子は教授にとても感謝していた。
「面白い資料見つかりそう?」
「う〜んどうかな、見つかるといいんだけどね。それより里奈、気分はどう?」
「前よりは楽になってきたかな」
「少し起きてかもめに餌でもあげてきたら?」
「いいや、まだ寝てるよ」
「そっか、そのほうがいいかもね」
「そうだ、そういえば今日はライブの日だった・・・・・・」
「そんなこと言ったって今更どうしようもないよ、メールでもしたら?」
「メールかぁ、悪いけど香夏子打ってくれないかな?」
「いいよ、何て打つの?」
「えっとね、「ゴメン今日は事情があってライブに行けないのごめんねみんな、LINAより」って打って」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・LINAより、送信っと」
「ここから送れるかなぁ?」
心配そうに里奈は言った
「分かんない、送れなかったら怒られるのはあたしじゃないし」
香夏子はちょっと意地悪そうに言った
「うそうそ、大丈夫だよ送れても送れなくても帰ったら一緒に謝ってあげるよ」
優しそうにいつもの笑顔で香夏子は言った
「あ、送れた送れた、これでちょっとは怒られる時間が減ったかもね」
「本当?やったね」
里奈はバンド「RAIN]を作ったリーダーでありベースを務めているので抜けるわけにはいかなかったが、今回は香夏子と離れるのが嫌なので仕方なくライブを断念した。
もともと「RAIN」は里奈が高校2年のときに作られたバンドであり最近はファンも定着してきて人気が出始めた所でリーダーの里奈が居ないとなるとあまり期待はできないのだ。
里奈ががっくり肩を落としていると、香夏子が言った
「大丈夫だよ、一緒に謝ってあげるって言ってるじゃない」
「ね?」
香夏子はもう一度笑顔で問いかけた
「うん、ありがとう香夏子はやっぱり優しいね」
里奈も満面の笑みで答えた
「何言ってんのよ、あたしたち親友でしょ里奈が困ってるのに何もしてやらない訳ないでしょ」
ちょっと照れ気味の顔で香夏子はは言った
「前に出て島見てみない?」
「うん、もうだいぶ良くなったし行ってみるよ」
「うわっ・・なんか不気味な島だね」
島を見た途端に里奈はそう言った
「まあ、見た目ではね」
「ねえ、香夏子?」
「何?」
「私達さあ、ずっとずっと親友だよね、友達だよね?」
「何改まって言ってんのよ、そうよずっと友達よ」
「ありがとう香夏子。そう私たちは親友よずっとずっとずっとずっとずっと、永遠に・・・・・・・・・・・」